花火の美しい色はこうしてできる
途中で色が変わるのは?

花火の色の秘密は?
 花火の様々な色はどのように生まれるのでしょうか?化学の時間にやった「炎色反応」という実験を覚えていますか?ある元素を含む化合物を燃やすとその元素固有の様々な色の炎を出して燃えるというものです。ガスバーナーの中に色々な金属化合物をかざして実験したと思います。花火の色はこの炎色反応を利用しているのです。
 花火の星は主に三つの薬剤の混合によってできています。色を出す焔色剤、酸素を供給する酸化剤、燃焼を促進する可燃材です。これらの混合の度合いによって色合いも変化し、また煙火業者ごとの独特の色合いを出す工夫にも結びついています。
紅色は炭酸ストロンチウム
緑色は硝酸バリウム
黄色はシュウ酸ソーダ、炭酸カルシウム
青色は花緑青、酸化銅
銀(白)色はアルミニウム。
金(錦)色はチタン合金。
  

これらが色を出すための薬品の例です。最近ではこれらに加え、マグネシウム等も使われて星の色はより明るくなる傾向にあります。またこれらの混合によって、かつては難しかったピンクや紫、水色やレモン色といった微妙な中間色も次々に実現されています。
 菊星に使われる「引き」は主に黒色火薬を使って木炭が燃えるときのやや暗いオレンジ色を出します。
  
→参考ホームページ
炎色反応QT  中條 敏明さんの炎色反応教育用QT(for Macintosh)

色が変わるのはなぜ?
 星が途中で色を変えるのは、日本の花火特有の技術(変色星)といっていいでしょう。これは変色星の図のような構造によるものです。それぞれ燃えたときに違った色を出す混合剤が幾層かの同心球になっています。
 花火が開いたときに、星は外側から燃えて飛び散ります。火薬の層の変わり目まで燃えると次の色の層に移り、ここで色が変わるわけです。星の中心にある色ほど、拡がった花火の外側の色になります。
 こうした星は「掛け星(かけぼし)」というもので、中心になるもの(菜種の実や粟粒など)に火薬を順にまぶして(掛けて)作っていくことからそう呼ばれています。日本の花火に主に使われる丸い星は現在は主にこの「星掛け」の作業で造られます。
 火薬をまぶすには現在は「造粒器」という機械で行われます。これは回転するお釜のようなものです。火薬がある程度の厚みになったら乾燥台に広げ天日で乾燥します。良く乾燥したら再び火薬を付着させて次第に少しづつ目的の大きさまで太らせていきます。尺玉に使用する直径約20ミリの掛け星(写真右下)が完成するまでにはこうした作業を繰り返し最低17日くらいかかります。→「造・花火はこうして作られる〜星づくり」参照
 しかも花火が開いて一斉に色が変わり、一斉に揃って消えるためには星の大きさや品質が一定でなければなりません。星の製造方法にはいくつかありますが、手間と時間のかかる掛け星は日本ならではの工夫と仕事といえるでしょう。外国の花火に多く使われる星は主にプレス星で、一種の色の火薬のみを機械型で固めて作ります。量産が簡単で品質も安定していますが単色の星しかできません。

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