花火野郎の観覧日記2023

観覧日記その9 8/26
第95回 全国花火競技大会 大曲の花火

  
秋田県・大仙市

    

会場全景

オープニング

大会提供

大会提供

フィナーレ
    
 車で向かうことにして、事前に予約駐車場を確保。予約開始日にアクセスしたけれど希望のところは軒並み埋まり、ようやく取れた予約駐車場は正午までの入庫指定。それで午前2時に起きて出発。早く着きすぎると思ったが、なんと福島県内の東北道本宮ICから二本松ICまで夜明け前の事故で通行止めを食らうのだ。「ここで出よ」という強制排除で東北道を降りる。ナビ様頼りと周りはほとんど物流トラックなので、後についていく感じで下道を走り二本松ICから東北道復帰。あとは順調で、指定駐車場には午前9時30分頃着いた。既に3〜40台の車が到着していた。
 しかし暑い。猛烈に暑かった。この日以前に大仙市では最高気温38度を記録し、長らく現地に在住している地元民すら生まれてこの方経験したことのない暑さらしい。付近の木陰にチェアリングしてしばらく休憩して涼む。駐車場の臨時の出店でプログラム冊子を購入。
 今回は愛好家仲間が事前購入してくれている観覧チケットを利用する、という算段。昼過ぎに電車組の仲間と合流しチケットを入手。指定駐車場の市役所に戻ると建物内を開放し、エアコンも稼働しているではないか。WCもあるので多くの観覧客がそこで涼しく過ごしていた。私も折りたたみ椅子を館内に持ち込んで長らくそこで待機。
 観覧席には夕刻に機材を運ぶ。カメラは予備として2台あるが、三脚はカメラ席ではないので1本のみにした。夕刻といっても観覧席は猛烈に暑い。大曲では観覧席の正面に日没するから、ずっと焦がされる。とても観覧場所に居られずに付近の木陰で日没近くまで過ごす。
 昼花火競技が始まる直前にお席に戻る。同道の仲間も遅れてやってきて合流。相変わらず昼花火は日没の太陽の方向に打ち上がる。審査員席では、花火の真後ろが日没方向とあってモロ逆光。眩しくて審査なんかできるはずもない。私の観覧場所からも同様。だから昼花火は撮影もせず見ているだけだった。逆光のせいで鮮やかなカラースモークが主体の昼花火では全ての作品の煙が濁って黒ずみ、残念な見栄えだった。打ち上げ位置を上流か下流かどちらかにずらせばまともに見えるのに、もう何年も意味不明な打ち上げ位置のままだ。昼花火は順光で見て初めてカラースモークの綺麗な発色が見えるのだからもはや観客から見て逆光の打ち上げ位置でやる意味がないと思う。昼花火競技玉では多くの出品作で色煙玉を吊るパラシュートが外れて河川敷に落下していた。当然減点となる。
 ナイアガラにワイドスターマインのお馴染みのオープニングで、「大曲に帰ってきたなぁ」と感慨深い。そしてかつてのように大曲らしく、競技が始まる。
 いわばこの競技スタイルを保ち続ける頑なさは、それこそが大曲、なので、私どものような愛好家はそれで満足できるのだけれど、団体でやってくる有料席の大半を占める観光観覧客はどう感じるだろう。「だって競技大会なのだからこういうもの」としてもそもそも競技大会がなんぞというのを理解しないまま、全国的に有名な大会だということだけでバスに乗る観光客もいるだろう。
 残念ながら幕間の「仕掛け」に客席から拍手喝采となる状況は、求めているのはそっちかよと突っ込みたくなるのだ。私もこの大曲で着席して30分も経たないで帰ったカップルを目撃している。だって目の前に座ったのだから。絶え間なく、ばんばん打ち上がっている納涼大会が花火大会と理解する客には競技会は退屈そのものだと思う。10号2発の競技を観て、もっと連続して10号が上がると思っていた。という声を聞いたことがある。そこを満たしているのが広告仕掛け花火なのだ。
 今回も引っ張りに引っ張って、もう21時近くにようやく「大会提供」となった。これを見るまでは帰れるか、と会場の期待感のこもった歓声も爆上がりだった。久しぶりに夏の大曲の大会提供を見る。おお、ここまでワイドだったか、広角画角の目一杯だ。
 大会提供(大会提供ワイドスターマイン)は長いこと全国の楽曲を伴うワイド系スターマインのお手本だったわけだ。そこから磯谷煙火のメロディ花火が生まれ、今日の各所のミュージックワイドスターマインに引き継がれていく。大会提供のもたらした影響は計り知れない。大会提供の創始の頃は、現在のコンピュータ点火機は無く、遠隔操作の電気引火のみ。打ち上げはプログラム内容に沿って総指揮者の号令一閃、人がそれに合わせて順番に点火ボタンを押していたのだ。現在は事前に使用楽曲に合わせて綿密にプログラムされたコンピュータ点火機の能力を順に見せられている気がする。
 企画を立て、そんなこと無理だ、を力技でなんとかしてきた頃の創意工夫が、今あるのか?と思う。打ち上げ技術も進化し、花火も進化した。それゆえ大曲の大会提供を超えるワイド打ちはもう各地にいくらでもある。今後そうした各所の規範となるワイドスターマインで大曲が再び牽引者となりうるのだろうか。
 フィナーレはお馴染みのエール交換となるが、煙火業者がトーチに点火する前から客席ではコンサートライトが乱舞していた。スマホのライトや懐中電灯ではなく、ライブで使うようなLEDライトを用意してきている客がほとんどでびっくりだ。
 大曲の花火を過去20回以上、30年以上にわたって見てきているが、間違いなく過去屈指のコンディションだった。大曲は花火内容は間違いがないが、会場の「気象的な」コンディションは打ち上げ場に向かって順風というようなことは10年に一度あるかないか。今回は予報より南寄りになったが一定した風向きが最後まで続く、というのは20年に一度もないと思う。大抵は途中で風向きが変わったり、地表と開花域とで真逆の風になったり、多くは北西の風で、向かって左側が差し込みというのがほとんど。
 今回の駐車場は周りを交通規制の道路で囲まれていて、規制解除の午前0時まで出庫できない。観覧席から駐車場に戻ると、庁舎内も付近の大抵の自販機も売り切れで、近くのコンビニに行ってみたが飲料は全滅という有様。しかたなく無料休憩所にあてられている体育館で出庫時間まで休憩しようと行ってみたらそこの自販機は生きていて、好きな飲み物を買うことができた。エアコンは無いものの横になって休めて助かった。
 0時に車を出すと、大曲ICまでは渋滞なしで30分で秋田道に入った。これはかつてない快適な帰路かと思ったのも束の間。快調だったのは次の横手ICの前までで、そこから流入渋滞でわずかの距離に1時間以上かかった。なにせ2車線が1車線になり、そこに流入して都合3車線が1車線になる、という渋滞の権化のような構造。その後も1車線ずつの対面通行だから渋滞しない方がおかしい。そもそも大会の交通規制図の迂回案内では大曲ICは渋滞混雑するから下道から直接横手ICを目指すようになっている。結果としては大仙市内で渋滞しなければOKと渋滞を隣の横手市に丸投げした格好。
 みなさんこの渋滞で消耗したか、東北道に入って最初の大きなSAである前沢では駐車場はようやく辿り着いて仮眠爆睡する車で満車の大盛況。ゴミ箱は爆発したかのように溢れだしていた。私も最初の仮眠をここで、それから各地のSAやPAで仮眠と走行を繰り返し、自宅には午前10時30分着。長くて暑い1日だった。
 

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