花火野郎の観覧日記2021

観覧日記その1 1/2
ツインリンクもてぎ NewYear HANABI

  
栃木県・茂木町

 最初は小雨だった。それでさえ萎える。到着時には例年通り正月らしい冬晴れ。今日もいい打ち上げが、なんて期待していただけに。
 そして程なくしてあたりが薄暗くなり、ふと見上げると場内の大きな照明塔の明かりに浮かび上がるように無数の白点が目に飛び込んで来た。「雪」かよ。「雪」だよ・・・・。いつしか小雨が密度の高い雪に変わっていた。信じられない。さすがに山の中だ。
 ツインリンクの新春公演は2004年に始まって以来まず皆勤賞なのだが、大晦日などに降雪し、雪の降り積もった状況は経験あるけど(2005年度)、打ち上げ中に降雪、しかもその30分ほどの時間にしっかり積雪するのは初めてだ。花火に見入っているうちにカメラバッグが真っ白になっていくほどの降り。雪がチリチリと音を立ててカメラに当たっている。積もった雪を見ても小さな氷の粒のようにさらさらで、バタバタと払い落とせば濡れもせずに落ちるような雪だが、相当気温が低い状況での降雪だ。
 4部構成でお送りします。第一部は・・・なんてアナウンスも耳に入らない。花火を見ながら雪と格闘する撮り。日中はグランドスタンドモロ風下の茂木らしい東南東から東の風。暗くなりかけて北寄りに変わったものの、撮影方向にカメラを向けるとそれでも風に乗って真横から雪が舞う。ワイドを使っているから傘などで防げないし雨ほどは濡れないにしても、たびたびレンズをチェックして水滴や着雪に気を使う。降雪の密度が高くて、花火もすっきり見えず若干霞む。2020年はコロナで潰えた花火大会、年明け早々にまともな花火打ち上げを期待して楽しみに仕事をこなして来たのにこの有様かと力が抜ける。
     

日中は冬晴れ

灯りに浮かぶ降雪

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  
 現着は昼過ぎ。この日はなんらかの有料指定席券と駐車券がなければ入場できない。最低価格のB指定席でも両方買えば値上げされてそれなりに高い。入場ゲートではチケットチェックとともに検温、マスクの確認と念入りだ。価格が高いとはいえコロナ対策のソーシャルディスタンスからみで通常の半分の数量しか販売していないわけで、興行的には収支が厳しいのではないかと懸念されるが、例年通りの新春公演をやってくれただけ感謝である。花火愛好家は三脚規制のせいか少なめ、と感じたがまさか収支が厳しい有料花火大会を場外からまるでサプライズのごとくこっそりただ見しているような愛好家は居ないと信じたいがどうだろうか。巡り巡って入場料収入は花火屋さんへの収入にもなることを考えればまともな花火愛好家としてきちんと料金は払いたいもの。
 というわけでなんらかの有料指定席券を事前に買って入場。例年は車1台に何人同乗しても一定料金というトクトクチケットがあったのだがそれは無しになって、誰かの車で茂木入りするのはダメになり、何年かぶりで単独でマイカーでの観覧。
 一般客は例年に比べれば到着時はかなりまばらだった。しかし終了後の出口渋滞をみると観客が少ないわけではなく、寒いのと、感染防止を鑑み、多くは開始ギリギリに来たのかも。事実、私の近くの有料席には開始3分前にようやく着席したくらいだった。
 知り合いにも新年の挨拶とともに歓談となったが、その数も少なかった。特に写真やビデオなどの愛好家氏は三脚使用について御無体と思える規制がかかり、大金払って縛られるのは嫌、ただでこっそり見られるシークレットやサプライズ花火が他にいくらでもある、と敬遠した写真愛好家は多いかも。この日の有料指定席設定では、フリーエリアという区画では、テントも椅子もなんでも持ち込み可という大盤振る舞い。なんとコンロなどの火器ももOK。つまり焚き火台で焚き火も可能だ。乾燥した冬の時期に野外で火の使用が自由なのに三脚は規制がかかるとは。特にあちこちにある看板ではマスク着用や密を避ける案内に並んで三脚使用に特化して規制をかけていた(三脚を使用しての撮影はオーバルコース上の三脚エリアに向かえ)。コロナ対策なみの執拗な三脚排除と隔離は残念だ。焚き火をしてバーベキューも可能なのに静かに三脚を立てるのがそれより蜜で他の客に迷惑って。
 実際は観客席でもそれほど三脚と撮影がとやかく言われた感じではなかった。とくにボックスの指定席、S席とかビクトリーコーナテラスプレミアム、スカイデッキなどでは普通に三脚展開していたし。規制がうるさければ観客席の場外で撮れば良いのだし、実際絵柄としてはそっちの方が良かったかも。
 カメラは2台用意し、天候がこれでは、と最広角横位置の1台は終幕までビニール袋を被せて保護。16mm縦の1台だけに集中して撮っていたがそのレンズフード内に「積雪」しているのを見て途中で撮影を止めた。レンズを拭いているくらいじゃ済まないからだ。そしてもう1台で4幕目のフィナーレを撮る。ラストは里山の忘れ柿のワイドだったが、霞んで見えた。撤収にかかるがカメラバッグ内に雪が降り込み、レンズを外して丁寧に収納なんかできないのでそのまま突っ込んで引き上げる。
 花火終了後の場内アナウンスで、「南ゲートで一部積雪があるので注意して走行してください」なんて物騒なことを言っている。南ゲートへは右曲がりの下り急坂じゃないか。ようやくゲートを抜けて走り出せばほどなく舞っている雪はなくなり、局地的なしかも花火開催時間狙い撃ちの降雪だったのか。
 花火は素晴らしく内容が良かった。とくに多重芯の対打ちは思わず一人で声をあげていた。およそこれほどまともな花火イベントと打ち上げは、昨2020年ではほとんど見ていないからそれはとても満足な晩。しかし写真屋としてはこの天候では過去2年間のような撮影の成果もなくてがっかりな晩だった。これまでも、そしてこれからしばらくも、シークレットやサプライズではない「観客の歓声が聞こえるまともな普通の花火大会」など無いだろうからいっそうに。
    
    

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