花火野郎の観覧日記2017

観覧日記その1 1/2
ツインリンクもてぎ 花火の祭典〜冬〜

  
栃木県・芳賀郡茂木町


パドックから
グランドスタンドを見上げる

メイン設置列を観て歩く

  

設置中央部の密度の濃い辺り


パドックバス

撮影場所から

  

  

第2部のラスト
   



  

  



第3部のラスト



   
 大晦日にお台場観覧をしたので、正月2日だと元日を挟んででもう花火という感じだ。近年というか2001年を最期にいわゆるカウントダウンの花火イベントは長らくご無沙汰だ。大晦日の深夜は家族で自宅で年明けを迎える、というのが私的には定着した。しかしそれも子供たちが社会人になっているのでまた変わるかもしれない。
 13時に約束してあった仲間の車に同行の3名と一緒に宇都宮駅でピックアップしてもらい、都合5名の一行でツインリンクに向かう。
 この中の一人が、今年20周年を迎える花火の祭典が始まった当時からしばらく打ち上げ現場の電気点火関係の手伝いをしていたというご縁がある方。現場を離れてからは茂木とはご無沙汰で、それまで打ち上げ場所で見上げるだけの花火を今回初めて客席からご覧になるという。花火担当の菊屋小幡花火店とのご縁で。その方を通じて打ち上げ現場付近を見学できるパドックパスを茂木から人数分発券してもらった。久しぶりにおいでになるなら現場をご覧下さい、という煙火店側のご親切でもある。
 14時過ぎに現着するとまだ駐車場もガラガラで観客もまばら。北風という予報から我々は北側第2ターンのスタンド上部の通路を目指す。そこに三脚を建てるとまずは場所確保完了。現地はダウンなど着ていると暑いくらいの陽気で陽射しも強かった。
 それからグランドスタンド下の専用トンネル通路を経てパドックを訪問。徒歩だとパスがあればスーパースピードウェイのストレート部分の下を潜る形でパドックエリアに出られる。車だとメインエントランスと北ゲートの途中にある入口からかなり走ってパドックの駐車場、というルートになる。
 茂木のパドックに足を踏み入れ、打ち上げ現場を見学するのは、1999年にツインリンクもてぎから花火撮影を依頼されたとき以来だ。そしてその年が私がここの花火を観た最初の年(第2回目開催日)になった。以来19年と長らく茂木の花火を観ているわけだけれど、開始当初とは若干位置が変わった現在の花火設置列を観るのは初めてになる。祭典がスタートした頃に比べれば遥かに筒の数も玉の数も増えている。1999年は夏の現場だったので、名物の地割れスターマインの設置も見学しているが、冬公演の今日はそれはないと思われたが途中のワイドで数発入っていた。地割れスターマインはワイドのメイン列の後方の別の場所に設けるので気が付かなかった。
 打上げ場所に立ってぐるりと見渡すととなるほどここは広い現場なのだとあらためて実感する。当初は開拓されていなかった山斜面にも新しいコースなどがオープンしたのでより広さを感じた。かつて小幡花火店先代の小幡清英氏が、初めてこの現場に立ったときに、その広さに戸惑ったと伺った。しかしそれだけに花火設置の自由度は高く、氏はここで毎年のように新しい工夫を凝らした打ち上げを担ってきたのだ。一度きりで終わった出し物も、途中で無くなったそれも、長らく続いているものもあるが、本当に様々な打ち上げシーンを楽しませていただいたことに感謝したい。
 外周スーパースピードウェイのオーバルのストレート部分は400メートルあるが、花火の祭典の主要な打ち上げ列が置かれているのはロードコース。このストレートもほぼそれくらいの長さがあり、そこ一杯、約390メートル幅に花火が点々と置かれていた。祭典開始当初はこのコース脇は花火には使ってなくてもう1本奥のコース脇だった。設置列中央がもっとも筒が集中している。7号から10号は1本奥のコースの端でこの設置は開始以来ほぼ変わっていない。
 観覧場所に戻ると、愛好家氏がつぎつぎに南側から北側に移動してくる。南側A席上部の通路はこれまでは普通に無料で三脚を連ねていたのだが、そこがA席を買わなければ入れない有料三脚ゾーンになっていたせいだ。あとで確認しに行くと、そのことに加えていつもなら第3ターンの南側コーナーの一般スタンドの最上部通路も幅広く観覧場所として使えるのだが、そこは昨夏からだろうか椅子とテーブルを置いて焼き肉を食べながら見物できるという新しい有料テラス観覧席に広範囲に変貌していた。やれやれ風向きが第3ターン側を要求する場合、今後は入場料、駐車料、指定席料と3段重ねの見物料を余儀なくされるのだろうか(冬公演でも総額最低4,000円也、夏は駐車券以外は全て冬より高い料金に設定されるので注意)。
 日没するとやはり冷え込んできたものの、過去に比べると暖かい晩だった。北風の予報が出ていたが、極めて珍しく飲食ブースからの煙がグランドスタンドの屋根を越えてオーバルコースに真っ直ぐに流れていた。めったにあり得ない西風の順風であることに驚く。
    
 例によって開始30分ほど前にプログラムのアナウンスがあった。
第1部:オープニング〜ありがとうをみんなに。〜
第2部:アニバーサリー〜移り変わる3つの情景でつづる時の流れ。〜
第3部:フィナーレ〜輝かしい未来の幕開け〜
    
 第1部、暗転してすぐにワイドに打ち始める。最初から派手に飛ばしているなーというのが第一印象。そうそうオープニングはこうでなくては。ピットレーンに置かれた星打ち群が、筒の見た目以上に仕込まれていたようで、何度も派手に至近距離で飛ばしたのが予想外な迫力で良かった、星とはいえ近すぎて画角に入りきらず苦笑いだ。斜めハス位置だと前後設置列が左右にずれて見えるから、都合そうとうなワイドになってしまう。大広角を使えば横位置で左右は入るが、この間合いでは今度は7号以上の玉が上で見切れてしまう可能性もあり悩ましい。結局当初の予定通り縦位置のまま撮りきる。はみ出し分は仕方ない。
 2部が終わると派手なワイド掃射だったせいか、花火足下の芝草がところどころ延焼していた。現場を見たところでは短く刈り込まれていたとはいえ、乾燥した芝エリア。開催前に散水していたがそれでも燃えてしまった。それで消火活動でしばし中断。2部の最後が錦冠ワイド撃ちからの銀一斉とこれまでならフィナーレに持ってくる内容だったので、終わったと思って片付けかけてしまった(笑)。そこで終わっても満足だったと思うくらいの内容だったこともある。周りで仲間や他の撮影者が引き上げにかからないので、ようやくまだ2部のエンドで3部がまるまる残っているのだと気が付いた。
 消火活動も終わって長らく中断後の仕切り直しの第3部は、尺の名花がふんだんに放たれた。ラストは四重芯3発同時がワイドの上に綺麗に決まって素晴らしい光景を見せた。
 近年の代替わりしてからの大晦日または正月に行われた冬公演の中で、もっとも良かった内容ではないだろうか。新生小幡花火店がようやく入り口に立ったと感じた。2015年末には、しばらく茂木は観るのを止めようと思ったが(事実、競技会を除いて菊屋小幡花火が担当する花火大会は2016年度はひとつも観ていない)、以前1発も決まらなかった四重芯が綺麗に丸く咲き、五重芯への取り組みも見せた。ようやく本来を取り戻した小幡花火店かと安堵した。むしろ2016年度は多くの競技会で、大御所の名前で出品する花火作家がことごとく多重芯を失敗する中で、小幡氏だけは何度も綺麗に開花させてきたのだから本物だろう。
 これまでは全体の中で部分的にいい場面がいくつかあっても前後と繋がらない感じだったが、今回はいくつもの良い場面がリズム良く繋がって全体的に高い満足度になっているようだった。ようやく意欲と方向性と見せ方と持ち玉とがこなれて噛み合ってきた、という感じ。プログラム構成上は終了後、愛好家蓮の間から同じように「2部と3部と入れ替えた方がいいんじゃね」という意見も多く聞かれたが、試みとしてはやってみなければ進歩は無いと思うので、これも良しじゃないかな。あとは先代の最盛期のように質の高い持ち玉のバリエーションを増やせるかどうか。この日だけでも手持ち分は全て投入しているのではないかな。この打ち上げ場所を活かして今後どのような花火シーンを見せてくれるか楽しみになってきた。
 再び宇都宮駅まで送り届けて貰い、私は夕食をしてから帰る。正月早々に良い花火を見られて新年の幕開けとしては最高だった。今年度の花火の祭典は今回を除くと8月14日の夏公演しかやらないことになっているが、私は夏は観ないことに決めているのでツインリンクで小幡花火を観るのは今年はこれが最初で最後になる。
    
 菊屋小幡花火店様、準備中にお邪魔させていただきありがとうございました。

    

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