花火野郎の観覧日記2017

観覧日記その7 5/27
STAR-ISLAND

  
東京都・港区

 お台場界隈で行われる花火打ち上げを伴う有料のイベントとしては、2012年の「お台場ミュージック花火」以来の大型なものだ。しかもこれほど広範囲に徹底した観覧規制を敷いたのはこのエリアでは初めてだと思う。2012の時も規制されたがこれほどじゃなかった。有料席の料金がその時より高い分、何が何でもお金を払ったお客様を最優先にするという意志が感じられた。
 なにしろ海浜公園の有料区画外の海縁は、水上バス乗り場から南西の端の潮風公園(現在工事中でもともと立ち入り不可)の近くまで広範囲にいっさい立ち入り禁止。全ての入口にバリケードを施してガードマンも配置しつつ午前中から規制されていた。アクアシティやDECKSのデッキ歩行部分、通路、屋上や非常階段に至るまでおよそ花火が快適に見えそうな場所は全て開始時間までには立ち入り禁止にされて(もちろんこれら施設やホテルのレストランなどの店内で食事や見物をする際のテラス席は例外)、ヒルトンホテルとアクアシティの間のわずかな通路とシンボルプロムナードの一部のみ見物場所になった。
 往きのゆりかもめ車内から眺めると、鳥の島に沿って既に三隻の巨きな花火台船が設置済みだった。中央台船に一番多くの物量が置かれている。お台場ミュージック花火の時同様に三カ所打ちというわけ。さすがにレインボー花火とは物量が違うからそれぞれの台船も大型だ。それぞれは鳥の島に沿いながらも長辺を有料エリア方向に斜めに向けていた。
 打ち上げ位置が判ったところで観覧場所、というわけだが、規制により選択肢がほぼ無い。その選択肢の中でも、やはりこの場所ならではのレインボーブリッジが入らなければ、それには前景が障害物がと構図上で気になるところがあっても、「贅沢は言えない」状況。とにかく打ち上げ方向視界が花火開発空間分開放されていれば。と細かい点は妥協せざるを得ない。
 いくつか事前に撮影候補地を考えてあったが、規制と台船配置による制約で結果としては、ヒルトンホテルとアクアシティの間の海側最前列。しかしそこも間際まで使えるのか立ち入り禁止で強制排除になるかわからず、午後の間中張り着いていたけど落ち着かなかった。行き場の無い三脚も折り重なるように立てられて密集度も半端なく凄かった。
 高いホテルの部屋を予約するとか、イベントの公式だ、報道だ、または付近のレストランの席でも予約すればいいようなものなんだろうけど、そういう特権の場所じゃなく誰にでも入れる場所で誰にも撮れない写真を撮る、というのが主義なのでここは無料の場所に流されてみる。
 DECKSでは、中で1000円以上お買い物をすると、3階のデッキ通路に出て見物できる入場券を配布、というサービスをやっていて調査に行ったのだが、300名限定というそのチケットには「三脚を使用しての写真撮影はご遠慮云々」の一文がしっかり入っており、面倒なので止める。
 18時過ぎてもう排除は無いだろう。と最初に三脚を置いた場所に荷物を移してスタンバったところでほどなく「禁止になったので退去して下さい」と警察の強権発動。立ち退いた直後に誰かが抗議したのか「やっぱりOK」と翻ってまた三脚抱えて舞い戻り、と直前までドタバタして落ち着かなかった。とにかくこういう場合は、1カット目を撮るまで、絶対その場所で撮れるか信用できない、というのがマイセオリーだから驚きはしないけど面倒だなぁ。
 脇を見れば後ろの者がこちらの肩越しにカメラを構えている、という密集状況なので、こちらの使用カメラも1台きり。いちおう最前列だから前の観客の頭は入らない。広角ワイドを使ってなんとかブリッジ込みの打ち上げ空間を切り取れる画角は確保できていた。しかし後ろにはびっしりの一般客が立ち見。それで1発こっきりの最初の玉が上がったとたん、それに観客が沸いて立っている場所が大きく上下に揺れたのには驚いた。こりゃ上下にブレた写真になるのは覚悟しなければ?(その後、客が減ったのと最初の揺れにビビった客が大人しくしていたので揺れは大きくはならなかった)。
 レインボーブリッジは、暮れのお台場レインボー花火の時のような虹色ではなくて、白とグリーンで統一されていた。ブリッジのライトアップカラーというのは、主橋脚2本の下部からの灯り、道路の下の縁の部分の灯り、ワイヤーに点々と点る灯り、などの色の組合せが季節毎というかもっとおおざっぱに夏仕様、冬仕様だったかで決まっている。それとは別にいわゆるレインボーカラーはクリスマス〜年末仕様とか、なんらか社会的なキャンペーンの時などに臨時で変えることがある。けれどお台場での民間の有料興行くらいでは変更はないと思う。今回もブリッジのHPに掲載されている夏カラーだと思う。とはいえ2012年の東京ミュージック花火は10月開催だったのに今回と同じライトアップだったので、ずっとこの色なのか?ブリッジ越しに見える芝の東京タワーの方がイベント中にライトアップを変えていて面白いと思った。

 そして花火が始まり、21時50分。全てが終わる。「長かった」。どうやら終わったらしい、と認識してから最初の感想だ。最初の1発だけの打ち上げから、1時間20分経過していた。この間打ちっぱなしというわけではなく、花火開始と公式でいわれていた19時20分になっても打ち上げは始まらず、最初の錦冠1発だけが上がったのが19時34分。ようやくまとめて出し始めたのが19時45分。じつに25分間も、いつ来るか?とリモコンを握って凝視していたので気疲れた。
 もうだいぶ進んだか、もう終わるかと途中で時計を観るとまだ20時だった。時計が壊れて止まっているんじゃないかと、そう錯覚した 何度も錯覚した こんなに時間が経ってないわけがない。それからもまだ2分、まだ5分しか過ぎていない、時計が壊れたのか?さっきも20時だったじゃないか。花火を見始めて長いけれど、こんな感覚は初めてのような気がする。花火の途中で時刻の確認じゃなくて、時間がなかなか過ぎないことを確認するなんて。それくらい打っている時間が長く感じた。さすがに同じ玉の繰り返しと3箇所での揃わなさ、そして上がってない時も、常にいつ出るか、と緊張して待ちかまえていることに疲れてきていたのかもしれない。数は打っているのに単調、そんな感じ。
 20時の時点で、まだ1時間 も あるのか、と天を仰いだ。ただ見エリアだと、放送も無く、突然花火が上がり、突然何分も何も無い時間が過ぎ、の繰り返し。そのことと風が冷たく寒かったせいか、19時過ぎには私の後ろにびっしりの見物客が居たのだが、20時頃までに半分が居なくなった。そして20時40分頃に大量の錦冠が打たれたその後、間が空いた時点でまた半分ほどの観客が一斉に帰った。この錦冠に配線ミスか、おそらくフィナーレで出すつもりの銀冠が混ざってしまったことから、私ども愛好家は最期は銀冠一斉と理解してその後を見続けたわけだ。
 20時50分近くにその銀冠ワイド掃射で終了間を出したが、終わったと放送されるでも打ち止め雷があがるもないから、しばらく夜空を見つめていた。まだ予定の花火終了時間まで10分あったからもう一幕あるのに備えて。結局そのまま終了で片づける。有料区画内ではもちろん、これで終わりです。の告知もあったとのこと。
 これで、買わなかったけれど、最低8,000円の有料公演ってどうなのかしら。心の片隅では、もう観られる場所がないから 当日券を買ってしまおうかと思っていたが、やはり買えなかった。花火だけを観る限り、こうまでガチガチにただで観させない規制をするほどの内容か、と思わざるを得ない。肝心の花火部分でけっこう予算的に制約があるのだと思われた。10分限りのレインボー花火の方が冴えた打ち上げのように思う。とくに私的に今回は2016年最終日のレインボー花火の10分間に満足度で及ばない。イベントの公式HPにも使われているその時のマルチカラー満星の放射打ちなど結局一度もやらなかったし。
 有料席で観覧した知り合いのリポートでは、「大満足!」とのことで、終了時には周りから一斉に拍手が沸き起こったという。次回が在れば必ずチケットを買って観ると言っていた。花火だけを区域外から観ていると間延びしているが、会場内ではさまざまなパフォーマンスが合間を埋めていて飽きさせないのだそうだ。とくに入場者全員に配られたLED内蔵リストバンドは、音楽や花火に合わせて一斉に点灯したり色を変えたりと最近のライブパフォーマンスではおなじみの仕掛けが施されていたらしい。
 私の観覧場所からはアナウンスも音楽もまったく聞こえず、有料区域内だけ聞こえるような音響システムなのだろうがとにかく費用のかかった催しだ。音響や、照明や何かの出し物はともかく、費用を良質の花火をたくさん打ってくれる方ら回してくれるといいのだがなぁ。
 帰りのゆりかもめ車内から有料の砂浜エリア観ると、花火大会などで使用されるよりもっと巨大で野球場のそれみたいな投光器が何台も設置されていて驚いた。有料区画以外にガードマンや規制線を配してただ観の規制をして、ずいぶんそういうことにお金をかけたイベントだこと。今回、きちんと収益が出ればまた次回もあるだろう。これは有料区画で一度は見て見なければ、本来を知ることはできないに違いない。
    

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