花火野郎の観覧日記2014

観覧日記その27 11/23
第108回 長野えびす講煙火大会

  
長野県・長野市


前日のその時

早朝の雨あがりの虹

日赤前の場所取り。午前11時

増設された団体向け太閤シート

河畔の花火筒群(7〜10号)
   
 長野駅近くのホテル。ベッドに腰掛けてビール片手にのんびりニュース番組を見ていた。さぁ、そろそろ明日の長い一日に備えて早めに寝るか・・・。
「緊急地震速報です、激しい揺れにご注意下さい」とアナウンサーが告げるや否やガーッガクガクと来た。ホテルは8階の部屋で久しぶりに味わう激しい揺れだった。
 22時8分。震源は同じ長野県内の長野市とではもうすぐ隣、というような場所。マグニチュードは6.8と発表された。
 うあー。夜でわからないけれど。被害状況によっては花火どころじゃなくなるかも。在来線、新幹線、高速道路の一部も運転見合わせ、通行止めになった。ホテルの館内放送でエレベーターが機能停止と告げる。その晩は何度と無く余震があり、寝付かれなかった。
  
 土曜なので長野は前日入り。しかしなんだこりゃ「暑い」。えびす講だし、と最大限の防寒対策をしてきたら今日はやたらと暑い。地面にはいつくばって場所取りのガムテなんか貼っているうちに汗びっしょり。フリースの上着を脱いでシャツだけでも暑い。いちおう三脚二本分の陣地は確保したが妥協の産物。前の日に来たくらいでは撮影にめぼしい位置は全て隙間無く売り切れになっていた。場所を取るためだけでも一週間前の中野えびす講に来なけりゃ駄目だな。しかし場所取りも賭ではある。どこかにババーンと取ってもそこが当日風向き的に良いかわからないし、さらに露天商が問題。目の前に発煙量の多い系の屋台、串焼きとか焼き鳥とか、じゃがバターあたりが来るとお手上げた。それは当日露天商が店を展開してみないとわからない。この大会も長く観覧しているが、河川敷の樹木も伸びて、以前とは微妙に視界が変わったりしている。そういうのも考慮しないと。
 それから河川敷に降りて、まだ空の筒だけを並べている段階の打ち上げ場所をざっとひとまわり。そんなことをしていると大汗かいた。昼食を摂ってホテルにチェックインすると、部屋は暖房もしていないのに暑い。窓を開けて部屋に風を入れる。じっとしているだけで額に汗が浮かぶ。長野にしては暑いなぁ。そのまま夕方まで昼寝してしまう。19時頃に夕食がてら一度会場まで様子を見に行って(もしかするとお掃除されているかもしれないし)。何事もないのであとは明日を待つばかり。そしてその揺れが来る。
 今回は車だ。高速の通行料は往復で新幹線の片道分。ガソリン代を入れるととんとんくらいだが色々運べるし。とくに防寒着がかさばるので冬場は車があるとありがたい。当日早朝、駅近のホテル指定の駐車場から三脚だけ持って長野東口駅前から日赤行きのバスで会場へ。昨日取っておいた場所に三脚を置いたかどうかという午前8時30分くらいでひと雨来た。予報では午前中の雨、とあったので仕方ない。早朝のニュースで昨晩被災した白馬村や小谷村の様子を中継して居たが、長野市内より北側のその辺りではもうその時点で雨だった。早朝ということもありダウンを着て本番に近い体制だったが、昨日と比べると陽射しがないせいか本来の寒さを味わうことに。
 昨日の昼ごろに、西側の端っこの方の空いている場所を取ったわけだが、それから夜にかけて一般客も場所取りに来たらしく、堤防道路脇や斜面を埋め尽くすほどにシート類が増えていて驚いた。しかしこの場所取りはえびす講狂想曲といってもいいほどだ。時期については場所取り解禁日や時間のルールは定められてないから仕方ない。昨年の時点で、道路上や杭を打ったりロープを張ったりと危険な場所取りでないかぎりは事実上黙認と言われた。しかも何ヶ月前からでも(紐やガムテがその間耐えられれば)OK?。だから中野に詣でた愛好家の多くはえびす講の場所取りもついでにやったと思う。私も中野に行っていたなら当然やったろう。禁止してお掃除もいいけど、大量のシートやガムテのゴミはどうするのさ。主催も頭が痛いだろう。しかし早い者勝ちならそれはそれでルールなので従うまでだ。
 入庫から24時間で一旦精算するため車を出して再びそこへ駐車するはずが、直ぐに別の車に入られた。駅周辺はどこもかしこも買い物客で満車。うろうろ何周もしたが空きが無く、結局会場の東側に遠く外れた場所にようやく駐車できた。駅に向かうよりは近くなったとはいえ当初の堤防道路西側からだと車まで遠くなり、かつ終了後は日赤前の大混雑領域を突破しなければならない。それと風向きが北東だったので、打ち上げに向かって左側東方向に場所変更しようかと考えた。昨日来た段階では打ち上げ中心部に近い東側は隙間無く場所取りされていたのでだめだった。幸いにも地元の知り合いに、他の仲間ともどもその辺りの場所を分けてもらってなんとか移動できた。昨日場所取りした位置は近くの一般の見物客に譲って三脚を引き払った。しかし撮影・録画部隊の集中度は凄い。日赤近くの中心部だけでも三脚の数は300や400じゃきかないだろう。
 15時頃に、地元煙火店のはからいで仲間と共に現場を見学させていただく。今日はミュージックワイドの設置列が昨年と反対に、青木煙火が前に出ていた。前列にある分、見かけは思い切りワイドに見える。堤防道路から見ても昨年は縦位置で撮れたけれど、今回はどうみても横にしなければだいたい筒の根本すら入りきらないだろう。最後列には7〜10号筒が立ち並び、両煙火店の設置が複雑にクロスして壮観だった。設置だけを見る限りもう信州煙火も複雑な斜め打ちの仕掛けなどは青木煙火と遜色が無いように見える。青木煙火のミュージックスターマインがはしりとはいえ、何年かの比較的短い間にすっかり斜め打ちも角度をつけた扇打ちもポピュラーな仕掛けとしてどこの煙火店も花火大会でも取り入れるようになったのは驚く。
   

個人協賛特大スターマイン
青木煙火/信州煙火

個人協賛特大スターマイン
青木煙火/信州煙火

個人協賛特大スターマイン
青木煙火/信州煙火

全国10号玉新作花火コンテスト
流星群
有限会社関島煙火製造所

全国10号玉新作花火コンテスト
桃源郷
株式会社山内煙火店

全国10号玉新作花火コンテスト
雪の結晶
伊那火工堀内煙火店

全国10号玉新作花火コンテスト
三重芯晩秋花
有限会社菊屋小幡花火店

全国10号玉新作花火コンテスト
紫苑に花明かり
筑北火工堀米煙火店

全国10号玉新作花火コンテスト
紫鏡映華
株式会社齋木煙火本店

全国10号玉新作花火コンテスト
シャボン玉
新潟煙火工業株式会社
   
 いよいよ開幕、一時は主催者側も同じ長野県内で被害が出ているこのような状況(地震)ではたして花火を開催していいものか?と協議したらしい。打ち上げ現場や観覧席に甚大な被害があれば無理だっただろう。被災された地域には申しわけないが、予定通り開催と決まってほっとしたものだ。
 1週間ほど前に長野市在住の知人からプログラム誌を送ってもらっていたが、ページを繰って驚いたのは「いきなり」の連続。開幕の個人協賛スターマインは例年どおりだが、それが終わるといきなり「全国10号玉新作花火コンテスト」。そして3つくらいの単発やスターマインを経て、5番目にしていきなり青木煙火の「ミュージックスターマイン」。この日の見所のうち3つほどがわずかプログラム5番のうちに立て続けである。うあーいきなりレッドゾーンだな。じょじょに調子を上げている暇なんかないじゃないかよう。
 青木煙火のミュージックスターマインは出だしこそまったりだったが、じょじょにスピードを上げ、最後はほんの数秒のうちに猛烈な銀トラ打ちが複雑に交錯して、それだけで目の前が真っ白という光量。あっけにとられているうちに終了。リモコンから指を離すタイミングすら与えない猛爆に参りました。対照的に序盤のピンク千輪もの打ちの時は下部のそうしたあしらいがまったく無く単調。緩急なのだろうけど最後にこれだけ打つならもう少し万編無く散らして欲しいところ。緑、オレンジ、ピンク、銀と使用色を絞っていたのはいい感じ。中程で使われていた濃いめのピンク星を使った八方咲き系が青木煙火では見ないようななかなかよい発色だった。撮り初めは画面下部に夜店を入れていたけれど、途中から上が入り切らないと考えて花火だけ、に振る。
 開幕5番目のこのミュージックスターマインが打ち終わるやいなやアクシデント発生。扇打ち斜め打ちで横方向に低角度で飛んだ星が、向かって左方向(東側)の河川敷の垣根に引火、たちまち大きく燃え上がったのだ。打ち上げ現場全域から花火師達が駆け寄るのが見えたが、風もあり、みるみる火勢は強くなって、普通の30秒間くらい噴出の消火器では何本あっても歯がたたないくらいの勢いになった。
 火の粉が飛んで類焼の恐れも大。ここで河川敷に待機中の長野消防署の消防車が出動。放水作業の後10分程度かけて鎮火。その後の長野消防署による状況説明で垣根が燃えたとアナウンスされた。これで開始早々、20分くらいの中断になり、電車組は帰りが気になるところだったが、終了は20時10分くらいと予定の10分増しくらいだったので良かったわけだ。
  

音楽と花火のコラボレーション
ミュージックスターマイン
青木煙火

音楽と花火のコラボレーション
ミュージックスターマイン
青木煙火

音楽と花火のコラボレーション
ミュージックスターマイン
青木煙火

音楽と花火のコラボレーション
ミュージックスターマイン
青木煙火

音楽と花火のコラボレーション
ミュージックスターマイン
青木煙火

音楽と花火のコラボレーション
ミュージックスターマイン
信州煙火

音楽と花火のコラボレーション
ミュージックスターマイン
信州煙火

音楽と花火のコラボレーション
ミュージックスターマイン
信州煙火

音楽と花火のコラボレーション
ミュージックスターマイン
信州煙火

音楽と花火のコラボレーション
ミュージックスターマイン
信州煙火

音楽と花火のコラボレーション
ミュージックスターマイン
信州煙火

10号10発一斉打ち
青木煙火

35. 大スターマイン
信州煙火

36. 10号5発
信州煙火

38. 大スターマイン
信州煙火

8号玉100連発
特大ワイドスターマイン
信州煙火/青木煙火

8号玉100連発
特大ワイドスターマイン
信州煙火/青木煙火

8号玉100連発
特大ワイドスターマイン
信州煙火/青木煙火

10号15発一斉打ち
信州煙火
  
 移動した観覧場所は中心部に近いからいつも以上に接近戦。サブの645Dではレンズが上を向いてもいけるようにとアングルファインダーまで新調したわけだがレンズの画角が足りなかった。10号割物だけでも、と思ったのだが、開催前の「御嶽山被災者追悼」の10号2発打ちで、撮影結果を見た時点で「駄目だこりゃ」。645では28ミリ相当しか広角がないのだが、やはりそれでは足りない。10号の盆がみちみちというか全体が入りきらない。
全国新作コンテストではいちおうD800と同時に撮ってはみたが、余裕のまったくないフレーミング。開幕2番目のプログラムにして早々に645Dはお役ご免。その後のスターマイン等々でファインダーを覗いてみるが、開花の中心部しか見えない。本当にここは大広角勝負の超接近戦だなぁ。上限が24ミリでそれ以下が主体だから仕方ない。
 2台建ててはみたが結局D800一台で撮りきったかたち。16ミリの広角も花火部分だけで精一杯という感じ。もっと魚眼に近い広角を使えば全てが収まるが、好みの問題だが私は地面が弧を描いて湾曲しているのが好きじゃない。同様に花火も歪んで丸くないのだが、自然な写りがいいのだけれど引きが取れないえびす講ではそれが難しい。
 開幕直後に続いて21番の10号、8号、7号玉109連発のところで再びトラブル。点火器の関係か、「ダンシング・クイーン」のメロディに乗って打たれるはずのワイド8号打ちが途中でストップ。ここで点検のため再び中断になった。無事に再開したあとはさくさくとプログラムが進んだ。
 信州煙火のミュージック。こちらも使用色をピンク、オレンジ、緑、紫、銀と絞っていた。打ち上げ全編で上下のバランスがよく、トラはめまぐるしい曲打ちはせず、下部を華やかに彩る事に徹していたようだ。楽曲はたいてい耳に聞こえていても忘れてしまう私が、「運命」だと覚えていたからなかなか音楽とのかねあいが絶妙だったに違いない。
 フィナーレは豪華にスターマイン付きの8号10箇所一斉打ちの3段重ねから、フルワイドの8号玉100連発特大ワイドスターマイン、スターマイン付きの10号15発一斉打ちと怒濤の打ち上げが続き、放心するほどの圧倒間だった。8号玉100連発は昨年は一番端に居たからかろうじて全景が納まったが、中央付近の今年は無理無理な超ワイドだった。
 このまま愛好家仲間は、忘年会やら反省会だのと宴席となるが、えびす講前にカレンダーが着荷しており、翌日は梱包出荷が待っているので私は即刻帰ることにした。
 片づけて車に戻ると20時30分過ぎ、途中えびすシートから出てくる客が堤防道路で大混雑になっていて通過にしばらくかかる。長野インターインが21時前。前日入りしてのんびりのはずが、気温高めの前日の場所取りで疲れたのと、地震騒ぎで良く眠れないまま本番長い一日を過ごしてけっこうきましたわ。花火が凄く良くなければ帰りの運転パワーが無いところだった。帰宅は約3時間後。長い2日間だった。

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