花火野郎の観覧日記2011

観覧日記その17 12/17
お台場レインボー花火2011
  
東京都・港区


     
     
 お台場海浜公園の砂浜で、「キャンドルナイト」なる一夜だけのイベントがある。というのでそれをあしらった絵を探求してみた。
 午前中は仕事で、昼食後14時過ぎに現着。アクアシティのお店をブラブラしてから海浜公園へ。砂浜ではキャンドルを並べて準備中だった。キャンドルひとつひとつは色のついた紙袋で、それを揉んでしわしわにしてある。底に砂を入れて安定させその上に小さな容器入りのキャンドルを置いてあるという仕様。紙袋は何色かあって、色分けで絵を描くように並べてあった。砂浜に予定の線描きはあるもののまだ並べていない絵が半分ほど。メリークリスマスの横文字。クリスマスツリーが二つ。流れ星などの絵柄が見てとれた。
 イベントを紹介してくれた知り合いの愛好家と現地で落ち合い、寒いので屋内で歓談しながら時間を過ごす。そして夕刻のまだ空に明るさの残る頃、砂浜にとって返して灯が点り始めたキャンドルと暮れなずむ町風景を撮影。完全に闇夜にならず空の青みが残っている時間が一番の撮り時なのだ。
 スマートフォンを含め携帯電話の内蔵カメラに押されて、コンパクトデジタルカメラは元気がない。今年の10月に出たばかりの最新機種が、上位機にもかかわらず投げ売り状態なので思わず新調してしまった。最初にコンパクトデジタルカメラを買った時、500万画素のそれが10万円を超えていた。今や1600万画素のフルハイビジョンの動画も撮れる高機能機が2万円もしない。技術の進歩と広く製品が普及した結果だろうか。
 使ってみれば驚愕の高性能。一眼デジと交互に夕景や夜景、キャンドルなどを撮ってみるがカメラまかせの設定でも問題なくいい写り。だいたい携帯電話のカメラが高機能すぎる。私の携帯なぞガラケーであるが、カメラ機能は優秀でなんと顔認識までしやがるんだぜ。携帯のくせに携帯のくせに携帯のくせに携帯のくせに携帯のくせに。おまけに画像処理までできてしまう。何10万もかけてPhotoshopに貢いできたのがばからしくなるくらいだ。
 夏の海の日にはこの場所で同様のキャンドルイベントが在るらしいが、その時は砂浜を埋め尽くすほど並べられるキャンドルも今夜はずっと小規模だという。灯が揃ったところでこれから始まる花火と前景としてのキャンドルの配置を繰り返し歩き回って検討する。キャンドルを入れすぎると花火が遠のくし双方のバランスが肝心だ。快晴の一日で暮れていく西の空も美しいグラデーションを見せていたが風は冷たく寒い。夢中で撮っていると手が冷たくなり、長野えびす講の方がずっと暖かかったと思えた。
 既に打ち上げ台船が来ている時間になったが、鳥の島の陰で今回も位置は見えない。花火開始が近づくにつれて多くの屋形船がやってきて前面の海上はひときわ華やかになっていった。この華やかさは屋形船の数だけじゃなくそれぞれの電飾にもある。昔ながらの軒縁に提灯を連ねた屋形船も健在だが、昨今はLEDなどでより明るくカラフルに装飾した新造船も目立つ。それらが入り乱れて実に色とりどりだ。海辺に降りているせいで前回のような立体感は乏しく屋形船も一直線に並んで見える。その分足下から海辺に向かって展開するキャンドルが画面を賑わしてくれる予定だ。
 他のキャンドルイベントやイルミネーションでもそうだし、観光地の花畑でもよく見られるように、「その中に入り込んで記念写真を撮る」客が後をたたない。キャンドルの回りに柵が在るわけではないし、花火打ち上げ中に立ちはだかられたらそれはそれで仕方ないのだが、その事がこういうシチュエーションでの想定される困り事と言える。あっちだこっちだと散々三脚の立ち位置を迷ったあげくようやく決める。客は少な目なので打ち上げが始まったら動けばいいか、と愛好家諸氏と話していたのだけれど、結局花火が始まる頃には周りを取り囲まれてしまってそれは叶わなかった。
 定刻近くになって鳥の島の向こうで、ザラ星が吹き上がって唐突に静かに花火は始まる。大人はキャンドルを取り巻いて花火を眺めていたのだが、連れられて来た子供たちはそうはいかなかった。目の前でキャンドル群の中に入って砂遊びを始めるわ、花火そっちのけでかけずり回るわ。とはいえそこにじっと座り込んでくれるならシルエットで写るけれど、暗がりでちょこまか走り回る子供なんぞ動きが早いだけにバルブ撮りでは写らない。大人でも前を横切ったくらいじゃ写らない。それがわかっていたからたいして気にならなかったわけで……。じっと座り込む親子連れは、微妙に位置をずらして画角を変えてかわし、ほぼ30カットくらいの撮りで人影が写り込んだのは数カットのみ。
 花火構成は前回とほぼ同じ、出だしの色牡丹の花束などは担当煙火店らしい演出だ。中盤でクリスマスツリーの型物が飛ぶあたりも同様で季節に合わせた内容だ。
 残念ながらあと一回を残してレインボー花火観覧は終了だが、久しぶりの復活講演は実に楽しませてくれた。願わくば冬の恒例イベントになって欲しい。

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