花火野郎の観覧日記2011

観覧日記その13 11/5
第65回 あつぎ鮎まつり花火大会
  
神奈川県・厚木市

     
 この日は昨年も行った自宅近くの大学祭の花火もあるけれど、厚木は初観覧になるので出かけてみる。
 本来は夏に開催され、大会名にあるように「鮎まつり」というイベントに伴う花火大会だ。その鮎まつりは例年どおり夏に実施されたが、花火部分だけ震災による自粛だか、節電だかで一時は中止決定になってしまった。花火大会は中止という表記は厚木市のウェブサイトでも少なくとも8月一杯はずっとそのままだった。
 それが秋めいてきた頃に急遽開催の情報が来たのだ。いつ実施に転じたかはわからないけれど、例年のように夏場に開催されていれば他の大会とぶつかって観覧できない大会がこうして時期がずれたものの観られることは嬉しい。大会名称こそ鮎まつり花火大会とそのままだが、11月5日、6日を通して行われ、本厚木駅周辺の町中の各所で多数のアーチストがパフォーマンスを披露するという「あつぎ国際大道芸2011」というイベントと同時開催となっている。
 ということもあって本厚木駅を出るといきなりの賑わいだ。案内テントがあり、祭りのプログラム誌や花火会場までの案内地図を配布していたのでゲットしておいた。事前に厚木市のウェブサイトで会場見取り図やプログラムが掲載されていたので、グーグルマップとも相まって出かける前からだいたいの位置関係は把握済み。
 13時過ぎの到着になったが花火にはまだまだ早い。そこで少し遅い昼食をゆっくりとってから花火会場に向かう。申し訳ないが大道芸に興味がないので花火会場にまっしぐらだ。案内地図を頼りにあゆみ橋のたもとまで行き着く。あとは相模川沿いに歩くだけだ。堤防があるというよりは、河川敷が掘り下がっているという感じの地形だ。だから川沿いの道から河川敷に拡がる観覧会場も打ち上げ場所も一気に一望できた。堤防斜面との境には延々と目隠し用の仕切が設けられていた。
 予め風向き予想と会場見取り図から、本厚木側で打ち上げ場所南側の河川敷か堤防斜面を観覧場所に予定していた。南風というのは観覧には便が良くて駅から比較的近い位置で見ることが出来る。それがこれからの季節にありがちな北風となると風上に回るのは車で直接乗り付けでもしない限り、駅からも遠くてかなり困難になる。メイン会場は南北どちらの風でも横流れというところだろうか。候補予定地に近い堤防斜面は既に階段状になって座りやすいところはレジャーシートで埋め尽くされていたが、それ以外の斜面部分は座るには傾斜もきつくてまずまず場所取り出来た。打ち上げ方向を観ながら見通しのよく、視点が高い斜面上部に位置取った(写真右・観覧場所の近く)。
 河川敷の川沿い、立入禁止ラインとの境には写真のように既に露天商が軒を連ねていた。しかし前景として使うには間合いとしては近い。後でレーザー距離系で測ってもらったところ打ち上げ場所まで約550メートルあるようだ。打上場所は対岸の河川敷になるので海老名市側ということになる。地元の愛好家の話では例年7号まで入るということなので、間合いとしては悪くないだろう。しかし双眼鏡でみたところ広く展開して置いてある筒群の中にはそれほど背の高い筒が混じっている用には見えなかった。
 数メートル単位で動きながら位置決めをしていると、知り合いの愛好家氏達が三々五々集まってくる。転げ落ちそうな角度の斜面に腰を下ろして長らく歓談して過ごすが、それでも長い午後だった。
 17時を過ぎて薄暗くなってくると一挙に背後の道路を通る観客が増えた。ガードマンが立ち止まり観覧を禁じて声を張り上げていた。大道芸から流れてきたか、またはいったん中止となった花火大会を待ちわびたか、とにかく人波が途切れない。 
 カウントダウンと共にワイド打ちからスタートした。見かけ上は横流れの風。誤算だなぁ。予報と全く違う北西から北くらいの風向きか。主たる打ち上げ場所からスターマイン系が打たれると。右方が前面に煙が浮いて来る。ありゃこれはケムケムの展開だ。雨予報は翌日になっているものの、東から崩れる予報の関東地方の西の端。午後遅くから湿度が上がっている感じもあったので、発煙すると消えにくい。一回ごとの煙はほぼ流れていくくらいの風はあるけどクリアーではない。
 プログラムは25本ほどあるが、大道芸と同居のパンフレットには協賛社名は記載してあるものの、どのような(単発とかスターマインとか)花火をやるのか殆ど書いてないという珍しいプログラムだった。だから初めて見る私には、どういう展開どころか何が上がるのか全くわからない。
 そして開幕からいくつか進むうちに実に単純な構成であると了解した。25本の打ち上げは規模の差こそあるものの思った以上に豪華に全てスターマインで、それらの打ち上げの合間を単発打ちが繋いでいるのだ。つまり花火の途切れる間が無いという仕立てだったは想像以上に楽しめる内容だった。星打ちや小型煙火類をあしらって変化を付けようとしているし、後半はほぼ2箇所打ちになってボリューム感も出て良かった。例年はナイアガラを架けるらしいが今回はその設置は無かった。また最大号数もどうやら5号までとみた。
 機材はデジタル一眼レフ一発。デジの時はカーボン脚としているが、本日は普通の重い方のハスキー。撮りの上では、そのスターマインを中心に狙うことにしたが手前にある夜店群を入れたり入れなかったりと構図を変えながら撮ってみる。夜店群が近くて塊としては大きいので、背後遠くで展開する花火とは少々バランスに難があるのでバリエーションといったところだ。さりとて夜店抜きでは予め花火の下側では川面が大きく入り込むような位置取りをしているものの、川への映り込みと花火以外には映る物がない。夜店群が大きすぎると、花火の映像に眼が行く前に、やきとり、焼きそば、じゃがバター………と読めてしまうのが嫌なんだぁぁぁぁ。
 後半のスターマインは2箇所打ちが普通となって、次第と豪華になってくるのだが30分を経過してなんと雨になってしまった。開始30分前とかそのあたりで、たまにポツリと雨を感じていたがまさかの成り行き。回復は遅く、崩れるのは早いという私なりのお天気セオリーだが、翌日の雨のはずが早くもやってきてしまった。最初はポツポツと大したことがなかったが、すぐに傘が必要な降りに発達。一度レンズは拭いたし風方向からして傘でガードしていれば大丈夫と踏んだが甘かった。自宅で写りを確認してみると煙にまみれているのはもちろんのこと、終盤は雨滴がたっぷりと画面に踊っていた。orz
 愛好家氏達は立ったり座ったりと思い思いの姿勢で撮っていたが、私は立ちでの撮影。しかし足下が急な斜面ということもありそこで踏ん張っているのはけっこう疲れた。特に雨になって滑り落ちないように気を使う。
 今回のミスとしては、時間はたっぷりあったのに、他の観覧場所についてロケハンしなかったこと。これは風向き予報を鵜呑みにしてしまったせいで、事実午後は予報通りの南風だったのだ。思えば時期的に南風というのも解せない。だから南側から狙う格好の想定してきた場所中心にのみ検討して他を見なかったのだ。撮影場所からの視界は高くて構図としても良かったのだが、夕方からどうも風が北寄り方向だなと思ったが時既に遅し。混雑具合を考えてもそれから居場所を変えられるわけもなし。完全風上は無理でも会場奥の北側ならば雨は免れないにしても、もっとスッキリ見える場所があったわけで、反省点として次回の課題としよう。成果は上がらなかったものの初観覧の花火を楽しめた晩だ。
 終わったら後ろの道路から直ぐ帰れるね、などと脱出路の近さを話していたのだが、もうその終わる頃にはびっしりと立ち見の現物客で埋まっており、易々と駅まで帰れるかどうか。しかし歩き出しは混雑していたが本厚木駅までの間に適度に混雑はばらけてしまい、かつ電車で市外から来ているような客も少ないみたいで、駅員が張り切っているのが空回りなくらい構内の混雑は無かった。新宿で宇都宮方面新宿ラインが1時間待ちになっていて相変わらずの便の無さ。赤羽で上野発の宇都宮線を掴まえる形にして帰宅してみると当初の予定どおり21時30分くらいだった。
 こうして人混みの中を三脚を肩に架けてすり抜けるように素早く歩く、または駅構内などではその存在にとことん気を遣うものだ。前向きに架けたり、前に抱きかかえたりもする(二本あると無理だが)。私の三脚はストッパー部分に蛍光カッティングシートが巻いてあるがこうした花火後の人混みを抜けるときに三脚を背負ってますよ、とアピールするのが目的のひとつ。
 そもそもどうしてこの装飾を始めたかというと、かれこれ20年以上も前になる。三脚の脚は真っ黒なので、花火大会の夜にはそれがそこに立っているのが見えにくい。私は一般観客が見ている場所で撮るという主義なので、一般客が通りすがるとき、堤防斜面を上ってきた時、三脚に気が付かず足をとられて転倒したりするのを防ぐためだったのだ。つまりここに三脚がありますよ、とアピールするためだ。残念ながら蛍光テープを巻いたら格好良いだろうな、という動機じゃない。とはいえ自家発光しているわけじゃないから気休めとはいえるが、何も対策しないよりはましかと。先だって他界された井上氏が、ずいぶん昔に大曲で「あなたの三脚遠くから目立つんだもん」と言って人混みの中から探し出して訪ねてくれたのを思い出す。それはまだ大曲の堤防道路が自由に行き来できた頃の話だ。もっとも現在では似た装飾の三脚が沢山在って迷ってしまうかもしれないけれど。
 蛍光素材だが当初は何か目立つモノをと考えた時に、カー用品店で見つけた蛍光テープを巻いていた。現在のモノはカッティングシートだ。色は最初から蛍光イエローを使っているが、実際は色々な色彩が揃っている。元は幅1メートルくらいで画材屋やホームセンターなどで量り売りしているでっかいサイズ。それを細く短冊に切って使っているわけ。なぜそれか?というと、屋外ディスプレイ用の特殊カッティングシートだからだ。つまり三脚ごと雨に降られても平気、という素材。退色や雨には強いけれど、汚れたら貼り替えている。三脚にはライブラリのロゴマークが貼ってあるが、これも黒と蛍光イエローの屋外用カッティングシートをロゴなどを切り出せる専用のカッティングマシンで切り抜いている。     
 神奈川県内花火大会全滅の様相を呈した今夏。時期は晩秋で肌寒い季節となってしまったが、例年並みの規模で実施されたのはなによりではないだろうか。花火を待ち望む地元客、主催者、そして担当煙火店のいずれにとっても良かったことだと思う。
 花火大会を中心とする経済効果を呼ぶ活気や元気は、開催地元が賑わうために欠かせないものではないだろうか。簡単に花火を自粛というが、無くしてみると節電によるネオンが消えた薄暗い都会の夜のように、なんとも生気も無くなって意気消沈してしまうさ。地元だからといって花火を歓迎する者ばかりではないだろうけど、駅から会場までの道すがら、大道芸の熱気もあるのだろうけれど様々な商店が見物客相手の商売をしようと、仕込みに忙しい様子には通りすがりの私にも祭りを迎えての昂揚感が感じられた。

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