日本の花火と外国の花火を比べてみると

日本の割物花火の例 外国の花火(アメリカ)の例

 最近は日本の花火大会でも外国製の花火を多く見かけるようになってきました。これは活発な貿易にもよりますが、花火大会のプログラムにより変化のある演出を盛り込もうという煙火業者や主催者の工夫であるともいえるでしょう。おかげで普段私たちが見ることの出来ない日本以外の様々な国の花火が楽しめます。
 それらは日本で打ち上げられる外国の花火ですが、日本のそれとずいぶん違うなぁと思ったことでしょう。私たちが思い描く菊や牡丹の花火はまんまるく、花火はそういう物だと思っています。ところが外国のとくにアメリカ、ヨーロッパ(イタリア、スペインなど)、オーストラリア系の花火は必ずしも円く開きません。もちろん打ち上げ方や演出の根本的な違いも大きいのですが、そこには打ち上げ前の花火玉の形にも基本的な違いがあります。
 図のように花火玉の形状もその構造もまったく違います。打ち上げにはどちらも円筒形の筒を使用するのですが、日本の花火玉は球形、外国のものは円筒形なのです。また花火に詰められる「星」ですが、これも日本のものは球状です。さらに、別々の色を出す火薬を幾層にも重ねて丸めた物で、途中で色が変わったりします。外国のは円筒形で一種類の色の火薬だけを機械でプレスして作るので色の変化はありません。
 日本の花火は球体の中心にある割火薬によって星を四方八方に球形に飛ばし、花を開かせますが、外国の場合は円筒の片方の蓋が外れて中身を放出させます。上の写真をご覧になれば星の飛び方の違いが良く解ります。
 外国の花火は円筒形であるために、同じ直径なら球形の入れ物より中身をたくさん詰められるという利点があります。さらにこうした短い円筒形の花火をいくつか重ねて、順に点火していくようにします。こうしてできた花火は直径より長い筒型のものになり、各ユニットの内容を変えて組み合わせることでより中身の濃い花火が制作できます。
 最近ではイタリア、イギリスなどでも日本式の球形の玉を作るようになっているようです。アジア圏の各国では日本の菊花型割物花火を数多く作っています。こうした中国製を主体とするアジア産の花火はさかんに輸入されています。それは日本では工場の規模を拡大できない国内の煙火業者が、より安い人件費つまりは製造単価を求めて、日本中国などで合弁会社をつくり、製造、輸入しているという場合もあります。国内の花火大会でスターマインなどで消費される小さい号数の玉は、こうした輸入物が多くなってきています。

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