●プロダクションノート
だれも聞いてもいないけれど勝手に答えるバーチャルインタビュー
「花火大会に行こう」写真担当の小野里公成が語る制作ノート。
−いよいよ完成ということですが?
最初にお話があってからちょうど1年くらい制作に関わらせていただきました。もちろん本の形にまとめるのは編集サイドのご苦労によるもので本当に感謝しています。とくに春先から実際の入稿をしてからは編集部では大変だったと思います。こちらは好きな花火ということで、一生懸命かつ楽しんでやらせていただきました。
私は写真部分の担当で、口絵の構成や本文に使用する写真のピックアップが主な作業だったわけです。花火と関連写真のほとんどはうちのライブラリのストックを使っています。ストックといっても埋蔵しているんではなく、年間を通して常に新しい花火写真を撮っていますから新作もたくさんあるんですよ。
花火写真が入るページに関しては、全て私のところでページレイアウトとトリミングもしています。
また図版制作ですが、浮世絵などの資料的なもの以外の、花火の解説図などは全て私がMACで描いています。図版は「ドン!と花火だ」と共通しているものもあるんですが、今回細部に手を入れて大部分書き直しています。カラーで描く図版も発生しましたしね。
−この本の特長というと何ですか?
本を通して、花火を解説したり、文化の中の花火を紹介したりするための著者全員が、花火を熟知し、花火を熱愛しているという点です。また知っているというだけでなく、メインの武藤氏は煙火業者ですから詳しいのは当然ですが、加えて見巧者川上氏も私も毎年、相当数花火大会を観覧しています。花火の本、といっても色々で、中には著者も編集者も、カメラマンも花火についてはまったく知らない、花火大会もあまり見に行っていない、なんていう場合もあるんですよ。ですから今回の本は、いわばプロが集まって作った「ホンモノ(本物)」という風にいえると思います。
あと花火大会ベスト50という企画は画期的だと思います。よくレストランの評価で星をつけますよね。花火大会は多くの人が関わっていますから、あれほどあからさまな順位付けはできないにしても最低限これだけは観ておいてソンはない、という花火大会を客観評価してはどうか?、ということですね。これまではつまりそれができる(評価を下せる)ほど(各地の)花火を観ている人がいなかったんですよ。今回もですから個人の評価だけでは不可能なので、座談会という形で、激論しながら決めていこう、ということになったわけです。これには我々著者連と編集部、それ以外の花火愛好家、煙火業者の代表などが参加しています。さらに全国の花火業者にアンケートをとって各地方のお勧め花火大会と理由を集計した物(花火万華鏡にも掲載)を激論のための資料として使っています。
ベスト50の結果については異論が出てくると思いますが、それでいいんじゃないでしょうか?これまで情報誌などにいくら花火日程が載っていても、せいぜい玉数くらいしか良し悪しの判断材料がなかったわけです。今回は各地の花火を観て回ったそれなりの見巧者が揃っての結論ということで、全国を通してのお勧め花火大会の筋道をつけた、と思っています。
−使用する花火写真はどういう風に決まるんですか?
私が花火写真、花火関連の周辺写真を提供している、といっても今回も「ドン!と花火だ」同様に、私の個人作品集じゃないわけです。ですから私の好みや美意識だけで写真を選んで並べているわけではないんですね。私はこうした企画によらず、毎年継続的に花火を撮っていますから、今回のためだけに特別に新規に写さなければならない写真というものはなくて、全ての写真は本の構成に合わせてライブラリのストックから出しています。
いちおうはじめに基本的なセレクトと構成をするんですが、これはいわばたたき台です。あとは編集担当者とお二人の著者を交えて、色々修正していくわけです。構成といっても自分が写真集をやったりする場合と全く違いますね。今回のような本はあくまで解説書的なものですからどうしてもカタログ的な品揃えが必要になってくるんですよ。製作煙火業者などもあまり偏らないように配慮したりとか、けっこう大変なんですよ。それと口絵の写真ばかりのところはともかく、本文中は文章内で解説しているの内容とシンクロした写真を用意しなければならないわけで、こういうのはやはり相当量のストックがないとできませんね。ようやく適当な写真を探してくると、著者の武藤氏から「もっと他のは無いの?」とか。けっこう厳しい要求がくるんですよね。
ちょっとした小技というか、花火大会ベスト50のところに小さいのですが各地の花火大会の写真が10点ばかりあるんです。ここに口絵や本文で一度も出さなかった花火大会の写真を使ってみたりとか、けっこう楽しんで制作させていただきました。
−写真の構成はではどういう点に気を使いましたか?
既刊の「ドン!と花火だ」や「花火讃歌」などとできるだけ写真がダブらないようにしたことです。まぁ全部買って、持っておられる方は少ないとは思うんですけれど、この3冊とも写真を共通して提供して、なおかつ自身で構成もしていますから、写真家としての良心ですね。とはいっても、まったくダブらせないのは解説書等の場合は無理なんです。たとえばある花火を説明するにはこの写真しかない!とか、この花火大会の代表的な写真はこれに決まり!という場合があるんですね。自分の作品集なら過去の作品とまったく重複させないことは可能なんですが、今回は編集者や文章担当の著者からの要望に応えながら、なるべく最近作でかつ重複させないという点に留意して構成しました。
その上で全体としては、花火本来の美しさとか、花火大会の臨場感や迫力なども損なわないで伝えることが重要なわけです。それとなるべく多種多様な花火大会と花火を紹介できたら、と考えました。
今回は写真集、という風ではないんですが、「花火ってこんなに綺麗だったんだ」と、やはり花火の写真を眺めることでも感動してもらえたら、と願っています。(談)
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